やわらかい
“つながり”が
サードプレイスの価値へ

プラネタリーヘルスライフ認定
デザイナーとして、
人と地球の健康をつなぐライフスタイルを
インタビューしました。
これからの時代に必要な
「プラネタリーヘルスマインド」。
身近な暮らしの中で気づきを促し、
実践している人のまなざしをご紹介します。
※プラネタリーヘルスライフ:
人と地球の健康につながるアクションを
暮らしの中に取り入れ広げていくライフスタイル
田邊智哉子さんが勤務する東京大手町にある3×3Lab Futureは社会・環境・経済を軸に、社会課題解決に取り組んでいる人同士がやわらかいつながりをつくる“家でも職場でもない”サードプレイスです。田邊さんは2018年からネットワークコーディネーターとして約500名の会員活動をサポートしています。クリエイティブな発想を生み出す人と人、場所と場所をつなぐ「コミュニティ」の未来は──
プラネタリーヘルスライフとコミュニティの可能性について伺いました。

オフィスを超える「場所」の創造
「3×3Lab Future」は、大手町の皇居が目の前にある緑溢れる恵まれた立地にあります。豊かな自然を感じる場として、室内にも木々が植えられており、国産木材を多用した心地良いコミュニケーションスペースです。
私はネットワークコーディネーターとして、社会課題に情熱を持って取り組んでいる方の“やわらかい”つながりづくりをサポートしています。最近では場所を限定しない交流や活動が盛んになり、コミュニティやコミュマネ(コミュニティマネージャー)が必要とされる企業や地域も増えてきました。働き方、暮らし方を柔軟に考えながら、会員のみなさまをよりよくつなぎイノベーションの種を育むことを目指しています。

心掛けていることは、社会課題の解決に向けた橋渡しになること。特に会員さんの”想いや情熱がどこにあるのか”をていねいに対話を重ねて探り、その情熱が膨らむようにサポートしています。
学生から年配の方までフラットに交じり合うことで生まれる対話によって、クリエイティブな発想が生まれる素地ができ、業種や業態を超えた交流促進や、持続可能な社会の実現を目指したつながりを創発しています。
ここには環境問題やダイバーシティ、地域活性化など持続可能な社会の創出を目指している方、コミュニティを運営している方が多く、自然発生的に会員さん同士がつながっていくこともあります。ネットワークコーディネーターが場を整え、木に包まれた心地よい空間が合わさることで、オフィスを超える活発な交流が生まれているのかもしれません。
交流促進の為のイベント企画運営も、私の大切な業務のひとつです。「ネットワークコーディネーター」という名称は、このような多岐に渡る業務とコンセプトに合わせてつくられました。

緩やかなつながりへの「共感」
こうして、植物の営みや呼吸を感じられる環境がコミュニケーションを円滑にすることを目の当たりにしてきた私が、プラネタリーヘルスライフ検定に興味を持ったのは自然な流れでもありました。

受講がきっかけとなって点が線となり、俯瞰して社会が見えるようになったのは、大きな発見でした。食、体、メンタルヘルス、働き方などすべてつながっていることを感じたのです。自分だけでなく人と地球へ思いを馳せる感覚が生まれ、プラネタリーヘルスへの強い共感になりました。「3×3Lab Future」は、国産木材を有効活用しているので、親和性を感じましたし、仕事と学びで大切にしている“つながり”が重なりました。
特に印象的だったのは、第1章で土と腸の関係を学ぶ「相関する「森」と「腸」のしくみ」でした。シェア畑で、周りに教えていただきながら野菜を育てていますが、野菜たちは小さいものしかできなくても本当に美味しくて味わい深いんです!検定で学んだ「土や微生物の重要性」が自分のライフワークとしての畑体験と合わさり、体系的につながったところに興味が増しました。

また、ひとりの女性として、ヘルスケアに関する学びに驚きがありました。体を動かすことや呼吸法がすこやかなライフスタイルにつながる教えについては、自分自身がピラティスを続ける中で何気なくよいと思っていたことに科学的根拠があることを理解できてよかったです。
仕事に活かしたいと思うことは、3章「男女の性差と体デザイン」の学びによって気づいた、各ライフステージによる女性の悩みを男女問わずざっくばらんに話せる場所や環境の整備です。体調の変化や心身の状態について周りに知ってもらう体制をつくり、安心して情報交換できる社会を目指していきたいですね。もっともっと「対話」できる場所が必要だと感じました。

自分を磨く先にある、プラネタリーヘルスライフ
プラネタリーヘルスライフを実践することで、部分ではなく全体をよりよい方向へ導いていく思考が身につきました。自分の健康から地球の健康へ膨らんでいくこと、そして、地球の健康は自分の健康へと循環していることの気づきが生まれました。
ネットワークコーディネーターとして育んだコミュニケーション力とシェア畑やピラティスで培った五感を働かせる体験が重なりました。人、体、自然とさまざまな場面で向き合うことやネットワークも「プラネタリーヘルスライフ」であるという喜びが得られました。

現代社会は仕事に忙殺されて感性や感覚を磨く時間が中々取れない人、地球を含めた全体的な健康を考える余裕がない人が多いのではと思っています。プラネタリーヘルスライフを学ぶことは、知ることで調えられる身近な“学びと実践”があります。仕事にも好影響をもたらしますし、自分自身を内観する目が養えます。これからは環境団体と連携するワークショップや、子どもから大人まで一緒に環境のことを学べる時間をつくりたいと思っています。
調和とは「ナカとソトにある」心地いい場所
調和とは、自分の中の調和と外への調和があると思っています。このバランスが大切ですね。ネットワークコーディネーターとしては、心地よく感じる場所の“調和”を意識しています。快適な空間作りは五感を働かせることで調えられるのではないでしょうか。誰にとっても心地よく自由な対話を促せる場所の提供、その相互の調和です。自分の中の調和が起点となり、ネットワークコーディネーターの「観察眼」にも生かされています。

これからも会員さんに向き合いひとりひとりの実現したい社会を一緒に考えて行動する中で、プラネタリーヘルスライフを表現し喜びを共有していきたいと思っています。