地球と共に走る
夫婦の挑戦
“食”でささえる
アスリートの未来

プラネタリーヘルスライフ認定
デザイナーとして、
人と地球の健康をつなぐライフスタイルを
インタビューしました。
これからの時代に必要な
「プラネタリーヘルスマインド」。
身近な暮らしの中で気づきを促し、
実践している人のまなざしをご紹介します。
※プラネタリーヘルスライフ:
人と地球の健康につながるアクションを
暮らしの中に取り入れ広げていくライフスタイル
池田清子さんは、プラントベースを取り入れた食事をきっかけに夫婦ともにマウンテンバイクのレースで優勝の経歴をも持つアスリートフード研究家です。ランニングや筋トレ中心の体づくりを行い、現在も夫とともに国内外のレースに出場。「細胞から健康的に強く美しくなる」をモットーにアスリートのための食事を研究し続けています。エビデンスに基づいた環境にやさしい食の実践で“美しい強さ”を目指している。“自然”から応援されるアスリートでいたい──
プロアスリートをささえるプラネタリーヘルスライフ認定デザイナーのキャリアとは。
食事が変わると結果が変わる、地球へのまなざし
私たちのターニングポイントは2014年。それまでは、マクロビオティックやアスリートフードなど栄養学を学んできましたが、遠征先でチームメイトから植物性食材のみの食生活「プラントベース」をすすめられたことが始まりです。ひとりの女性として輝く彼女からの助言は、 “論より証拠”であり、心が動かされた瞬間でした。
プラントベースに賛同したプロアスリートの夫の決心もあり、夫婦で食事を見直すことに。徹底して実践した結果、2ヶ月後のレースで夫婦ともに優勝できたのです[1]。体にやさしい食事であることはもちろん、環境に配慮した食事を続けたことでも、明確な成果が表れ、驚きました。私たちは競技の結果だけでなく、食事が及ぼす体や心への影響、環境へつながる社会的効果を感じたのです。

海外遠征をしていると、様々な国籍の方とレース以外のテーマでも意見を交わす機会があります。特に環境問題については、“あなたはどう考えているのか”意見を求められることが少なくありません。地球の抱える課題や日々のアクションなどのディスカッションや対話を重ねることで、そのアンテナを張る必要性に気付かされ、自国の課題を識る探究心が芽生えました。その視点で日本を見てみると、サービスがていねいで充実していますが、たとえば食材の梱包ひとつにも環境に負荷をかけ過ぎているのではないかと考えさせられます。

学びと実践の積み重ねが確かな自信へ
現在、私は講演会やSNSなどで発信をする立場にあり、正しい知識をわかりやすく伝えることの重要性を認識しています。だからこそ、更に学びを深めたいと思ったことが受講の大きな動機でした。人と地球の課題解決を同時に考える、人と地球は別々な存在ではなく人間を含む動植物の健康は地球の健康とイコールでつながっているという理念に一番共感しました。

プラネタリーヘルスライフ検定講座では、これまで実践してきたことへの裏付け、また体系的な学びを得られたことが収穫でした。たとえば、第4章の「プラネタリーヘルスダイエット」で学ぶ、「肉は従来の半分に、野菜を倍に」という食事の摂取バランスの目安を講演会でインパクトのある言葉でわかりやすく伝えると、終演後に「明日から早速やってみます」とお声をいただけることに手ごたえを感じています。
学んだことを実践し、その結果として反響を目の当たりにしたとき、達成感に満たされ、「学べてよかった」と心から思いました。また、何か重要なことを伝えるときには、印象に残る「ことば」で語らなければ、人の心を動かすことも、アクションにつなげることもできないと学びました。

日頃から意識してきた“丸ごと食べる、皮ごと食べる”こと。そして、土壌や環境を守ること。その両方を叶えるために、オーガニックを選ぶことの大切さを、この度の学びを通して改めて実感し、共感しました。100%を目指すのではなく、できるところから取り入れ、自分自身が幸せを感じられるペースで続けていくことが重要なのではないでしょうか。
第一線で活躍されている講師の皆さんから学べることも、大きな魅力のひとつでした。私は移動の合間に動画を視聴し、夕食後から入浴までを学びの時間にあてていました。冒頭で「プラネタリーヘルス」の内容を分かりやすく解説されているため、スムーズに学習が進みました。特にホルモンの変化など、夫婦で共有したい情報が多く含まれていた点も印象的でした。新たな知識を共有できたことで、お互いの体について理解が深まり、食事だけでなくコンディション全体に対しても、より自然にアドバイスできるようになりました。食・心・体・環境を通して、正しい知識をトータルに学びたい方に、ぜひおすすめしたい内容です。
夫婦で歩む“プラネタリーヘルスライフ”
トレイルランニングは自然を舞台にしている競技にも関わらず、集中し過ぎるあまり私自身、競技を始めた原点を忘れてしまうことがあります。受講がきっかけとなり、「まずは自然を楽しむ」、「自然からも応援される存在になりたい」、というマインドに立ち返りました。
2章に「24時間マインドフルネス実践法」がありましたが、五感を最大に駆使して自然とふれあい、自分も自然の一部であることを意識しながら、日々の目線を上げていきたいと思っています。そうすることで、季節の移ろい、鳥のさえずり、木々の甘い香りを感じながら競技ができる、“自然に敬意を持てるランナー”でありたいと願っています。

私の仕事は、夫に対するメンタルと食事のサポートを通して、ベストな状態でスタートラインに立てるよう調えることです。三度の食事も、ほんの少し視点を変えるだけでマインドフルネスの実践の場になります。アスリートにはメンタルの浮き沈みがつきものですが、フィジカルの状態がメンタルに与える影響の大きさを日々実感しています。練習にも直結するため、このメンタルと食事のサポートは「ナイフの先を研ぎ澄ますような作業」だと感じています。

プロスポーツ選手として、結果をだすためのトレーニングには「食」も欠かせない要素です。同時に、ひとりの人間として自分の食事選び=“食の投票”が地球に与える影響や、持続可能な方法を考えることも、プロとして一層意識を高めています。
そして、プラネタリーヘルスライフで学んだ「心のあり方が世界を変える」という教えを、私自身も競技者として気持ちを通わせながら、夫婦で実践を重ねています。

私たちは夫婦ともに競技者として、現役をできるだけ長く続け、いつまでも若々しく健康でいることを目標にしています。そのための手段として「プラネタリーヘルスライフ」を実践しており、この先にある“幸せの持続”こそが、結果的に地球への貢献にもつながると考えています。
調和とは「全体性」を意識して食べること
食の観点から調和を考えると、その答えのひとつは「ホールフード」にあると感じます。本来食材は、完璧なバランスで成り立っているため、「一物全体」で丸ごといただくことで、栄養の吸収がスムーズになるだけでなく、消化への負担も軽減されます。さらに、食品ロスの削減にもつながり、環境へのやさしさにもつながります。

これまでも、加工度の低い自然な状態のものを選び、食べるよう心掛けてきましたが、今後は受講した内容を活かし、一層、自然との調和を意識していきたいと思います。美しさは、健康を犠牲にして成り立つものではありません。11年間ほどモデル事務所でマネージャーとして働いた経験から気づいたのは、内側からのエネルギーや輝き、年齢を重ねても太陽の下で自然を感じながらアクティブに過ごす中で、にじみ出るものだということ。健康という土台があってこそ、真の美しさが育まれると信じています。プラネタリーヘルスライフを実践しながら、人と地球の健康を目指す証として、その姿を夫婦で体現していけたらと願っています。