センス・オブ・ワンダーが
「人育て」の大きなヒントに

プラネタリーヘルスライフ認定
デザイナーとして、
人と地球の健康をつなぐライフスタイルを
インタビューしました。
これからの時代に必要な
「プラネタリーヘルスマインド」。
身近な暮らしの中で気づきを促し、
実践している人のまなざしをご紹介します。

※プラネタリーヘルスライフ:
人と地球の健康につながるアクションを
暮らしの中に取り入れ広げていくライフスタイル

自身が自然に触れることで癒され、呼び覚ました「センス・オブ・ワンダー」(自然の神秘に深く感動する力・感性)の体験をきっかけに、両親のふるさと「山口県徳地産」の薬草茶専門店を開業。薬草の魅力を伝えたい一心で始めた活動は、地方創生や文化継承へと広がりをみせている。体感したことを”生きた言葉”で伝えたい── 

自然の力を信じる想いと人材育成への情熱、プラネタリーヘルスの重なりの先にあるものとは。薬草茶会でのひとときや、プラネタリーヘルスライフ認定デザイナーとしての歩みを追いました。

植物がもたらす力を信じて

森薫る焙煎薬草茶「TOKUJI YAKUSOU」は山口県徳地地域で自生する農薬不使用の薬草を使った、薬草茶専門店です。妊婦さんや赤ちゃんでも安心して飲める全17種類の薬草茶は、肌の悩みを抱える方々にも美味しく飲んでいただいています。自然乾燥と焙煎の加減にこだわった、ていねいな仕上げが美味しさの秘訣。また、肌にもやさしいため、薬草湯として楽しめるのも魅力のひとつです。

薬草茶開店のきっかけは、私自身、重度のアトピー性皮膚炎の治療に苦しんだ経験にあります。出産後の我が子にも同様の炎症が現れたとき、徳地のよもぎ茶が私たちを救ってくれました。

山口県山口市徳地町は大自然の中にある小さな集落です。両親の故郷であり、夏休みには必ず過ごす私の“特別な場所”でした。以来、私はこの場所の素晴らしさを語りたいと思い情熱を傾けてきました。

そんな私も20~30代の頃は、仕事中心で睡眠や食事も乱れがちな日々を過ごしていました。ある日、気の向くままに自宅に大きな観葉植物を置いたところ、心が安定し穏やかな気持ちに。何とも言えない満たされた心地で、ストレスや息苦しさが緩和され、自然の力を体全体で感じ取っていることが実感できたのです。人と自然はしっかりとつながっていることを感じられた経験でした。植物と人間が共生することの重要性を投げかけてくれたこの体験は、私の人生を変えたのです。

山口県山口市徳地地域の田園風景(写真=本人提供)

自然の恵みの素晴らしさを感覚ではなく「ことば」で伝えたい

「人は自然と常に接続している」ことを感じる背景には何があるのか、もっと知りたい、学びたいという思いがありました。薬草茶においても、商品として販売するだけではなく、薬草が育まれた土地や空気をも「伝える」ことが本当に大切だと考えています。徳地の薬草茶を通じて伝えたいことは、もっと深いところにあると感じていました。その伝え方に悩んでいたとき、仕事仲間を通して出会ったのがプラネタリーヘルスライフ検定でした。プラネタリーヘルスを学び、最新の科学的根拠のある知識を深めることでお客様への「ことば」に説得力が増すのではと思い、引き寄せられるように受講を決めました。

自分が感じてきたことを感覚だけで終わらせたくない気持ちが学びのモチベーションとなり、大きくうなずき共鳴することばかりでした。私のこの願いとプラネタリーヘルスライフ検定で学べることが一致したのです。真の健康とは何か、生きた“ことば”で伝えていくプロセスが私にとってのプラネタリーヘルスライフであると感じました。

そして、地域の「財」を伝える人がいなくなれば、知ることもできなくなる。眠っているローカルなものへの“まなざし”に光を当ててみたいと思いました。総合監修の桐村里紗先生が地域創生医であることも大きな受講動機になりました。

自然の営みから教わること、先人の智慧から学ぶことはたくさんあります。TOKUJI YAKUSOUが開催する人気の「薬草茶会」では参加者のみなさんに「身土不二、一物全体」を伝えています。プラネタリーヘルスライフ検定で学ぶ「体と土は二つと分けられない」という意味ですが、自然から決して離れてはならないことを示してくれている象徴的な言葉だと思っています。

さらに、プラネタリーヘルスの最初の章で学びますが、美味しい野菜が育つには土の健康が命。たった1gの土に、100億~1000億個ほどの微生物が存在し、私たちの腸内にも100兆個~1000兆個の微生物がいます。微生物多様な土壌で育った、野菜や薬草を取り入れることは、私たちの体にとても良いことが医学的にもわかりました。

これまで当店では、多くのお客さまに「徳地の薬草茶は、本当に美味しい!」「体が求める感覚がする」と言われて不思議な感覚でした。プラネタリーヘルスを学ぶことで、土や水、微生物たちといった自然の土台が、その土地で育つ作物の質を大きく左右することを知り、徳地の薬草が美味しいと感じられるのには、確かな根拠があるのだと気づけたのです。

私が開催する薬草茶会にご参加くださる方々の多くは、徳地の薬草茶を飲んで、他のものとの「違い」を体で実感されています。その「違い」の理由を、今後はよりわかりやすくお伝えしていけたらと考えています。

人材教育のツールにもなる「プラネタリーヘルスマインド」

私は仕事で多くのキャリア女性と関わってきましたが、「調っている人」とそうではない人の違いは何か、と不思議に思っていました。やがて、その違いは心身がすこやかで、人や物事と心地よくつながる「調和」が取れているかどうかだと気づきました。仕事を進める上では、人材育成も私の大切な業務ですが、プラネタリーヘルスマインドは働くことに苦しみを抱いている現代人を助ける力があるという気づきを得ました。

取締役を務めるFunPlanning株式会社では、ともに仕事をする仲間との「心のつながり」をとても大切にしています。それぞれと向き合うときにその人が大事にしたいもの、得たいものが何なのか互いに深いところで対話することを心がけています。

2章「心を調える」で学んだマインドフルネスでは、プラネタリーヘルスマインドを獲得することと人材教育がつながっていることに気づきました。学びを「伝える」ことで目の前にある個々の課題が、解決へと導かれていく——。そんな変化をしていく様子に驚いています。

人と地球の健康を願い行動することと、心を調えることは、その人自身の幸福感が上がることはもちろんですが、周りにもよい影響を与えます。何よりも、あなた自身が「自分を大切にすること」や「自らが幸せであること」がとても大切だと伝えています。

人は職場環境の影響をとても受けやすく、日頃から社内で発せられる「チームの言葉」や「経営者の言葉」にとても敏感です。自分を大切にしてくれる「真の言葉」は安心感となり「貢献したい」という自然な気持ちを生み出し、良い循環の組織が育まれるのです。

だからこそ、プラネタリーヘルスマインド、センス・オブ・ワンダー、そして心を調えることの3つを大切に伝えていきたいです。

調和とは「共生」。そして、リスペクト・感謝の循環

自然はもちろん、今の人材育成や組織の形も縦軸ではなく横軸に展開していく「横型」になっていると感じています。横一線でつながりを持ち、広がる考え方を伝えています。会社では役職名で呼び合うことはありませんし、上も下もないフラットな空間をつくるようにしています。

だから、調和を考えるときに、関わる人や万物と対等であり「共生」することが大事だと考えます。感謝をすることは、当たり前ですし、関わってくれているすべての人への「リスペクト」を強く感じています。

FanPlanningは、「たのしいがつながる」がコンセプトです。楽しい気持ちを何よりも大切に「プラネタリーヘルスライフ」を実践することで目の前の人を幸せにしたいと願っています。センス・オブ・ワンダーを磨くことで得られる幸福感を家族や仲間と感じていきたいです。

自然の恵みがもたらしてくれるもの、それは調和であるとともに自分自身と向き合うひとときなのかもしれません。